The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
私が嗜めようとする前にツナ缶は入りませんとデュースが嗜めた。
デュース、今の凄いお母さんみたい。
ツナ缶はまた今度買ってあげるから今日は諦めてねとグリムを撫でる。渋りながらもじゃあ次は絶対買って欲しいと言質を取り始めるところがらしいというか。
「ふむふむ……生クリーム、牛乳、卵に缶詰。…これまたSweetなラインナップだ。OK!今出してくるよ」
「おお…本当にあるのか」
サムさんが店の奥から商品を取りに行っている間、ツナ缶をねだるグリムの背中を撫でて宥めた。
「はいはい。次来た時は買ってあげるから」
「やったんだゾ!!絶対の絶対なんだゾ!」
「こら、ユウ。グリムを甘やかすな」
「あはは…甘やかしてるつもりないけどね」
怒る時は怒るし。
飴と鞭はしっかり分けないとすぐに勉強から逃げ出そうとするグリムをその気にさせられないからね。
サムさんは戻ってくると品物の入った袋を渡してくれる。缶詰の入った袋はずっしりと重たかったけど、サムさんが気を利かせて少なめに入れてくれて助かった。
「はい、お待ちどうさま。重たいけど持てるかな?」
「大丈夫そうです。ありがとうございます!」
「今なら!荷物運びにも使える宙に浮かぶ円盤1/100サイズが、30%OFFでお買い得だよ」
「なんだそれ!面白そうなんだゾ!」
あの円盤ってそういう用途に使う物だったの?!
サムさんが相変わらずの商魂たくましさで紹介する円盤を見てキラキラと目を輝かせるグリム。
買ったって使わなくなる未来しか見えない。大体うちにはそんな余裕はない。
デュースはサムさんの手にお金を乗せると円盤を見つめるグリムの首根っこを引っ掴んで持ち上げる。
やだやだと駄々をこねるグリムにデュースがダメだとぴしゃりとはねつけた。
「サムさん、学園長から聞きました。衛生用品等を送ってくれたとまだ確認はしていないのですが、いくらでしょう?今はあまりお金がないので分割払いでも大丈夫ですか?」
「それなら請求は学園長にしてるから小鬼ちゃんが心配する必要はないさ!君は生徒で何より学園の不手際でここにいると聞いたからね。学園側がその責任をとるべきさ!何より子どものうちに大人には甘えて利用しておいた方が得だよ!!」
パチリとウインクをして悪戯っぽく笑うサムさんに思わずクスクスと笑う。