The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
しばらくして栗の皮剥きの作業が終わると次は裏漉し作業だ。この作業が一番大変だ。
先輩が魔法で一度に熱を加えて柔らかくした栗をヘラを使って濾し器に押し付ける。すると栗の身はほろほろと崩れていく。これを延々と繰り返していくのだ。
力のいる作業なだけあって少しやると腕が怠くなってくる。
「大丈夫か?ユウ…少し代わろうか?」
「んん、もう少ししたら代わってもらっていいですか?」
「あぁ。無理してやる必要はないからな。交代しながらの方が効率もいい」
優しくぽんぽんと頭を撫でてくれるトレイ先輩は相変わらず面倒見がいいというか…。
「なんだか……兄ができたみたい」
「ユウの兄か…それは光栄だな」
思わず漏れてしまった言葉を拾った先輩はニコニコと私の頭を撫で続ける。監督生の髪はサラサラだなーと褒めてくれる様子はやっぱり先輩というより兄のようだ。
私は一人っ子だったからこういうことされるのは不思議な感覚だ。
しばらく大人しく撫でられていると
「先輩ー監督生ばっかり撫でてないでこっちを教えてあげてくださいよー」
「ん?あぁ、分かった。……くくっ。お前分かりやすいな」
「黙っててくださいよ!!」
「エース?」
くつくつと何か思い当たり私を見て喉を鳴らす先輩をエースはムッと睨んだ。何のことだろうと首を傾げるも気にしなくていいの一点張りだ。
***
しばらく裏漉し作業に没頭しているとようやく作業の終わりが見えた。
トレイ先輩に裏漉し作業を交代してもらいながらだったけど、なんとか終わったぁ!!
ずっと同じ姿勢でいたから肩やら腰やらが痛い。それに腕も凄く怠い感じ。ただでさえ大変な裏漉し作業で一人ではないとはいえ、こんな大量にやったのは初めて。
「はは!お疲れ様、苦労した分きっと美味いぞ」
「うぅ…匂いだけでお腹いっぱいなんだゾ」
「あの食いしん坊のグリムからそんな言葉が聞けるなんてよっぽどだね……でも実際疲れたぁ」
「このマロンペーストにバターと砂糖を加えて…」
クリーム状になるまで溶かして混ぜたバターと砂糖をボウルに入れてヘラで混ぜていく。
「そしてここに……
隠し味としてこのオイスターソースを適量加える」
思わずギョッとしてトレイ先輩の顔を見つめた。
お、オイスターソース?