The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
「あー!やっと見つけた!やっぱりココにいた。レオナさん、今日は補習の日ッスよ」
その人に気を取られているのに気づいて、隙を見て腕の中から逃げ出す。逃げたことで何か言われるかと思ったけど大丈夫だったようだ。
私の横を通る生徒、ブレザーにはサバナクロー寮の腕章が付いていた。
補習って……この人まさかサバナクロー寮の寮生?
「はぁ……うるせぇのが来た」
「レオナさん、ただでさえダブってるんス。これ以上留年したら来年はオレと同級生ッスよ。オレそんなのゴメンッスよ!」
りゅ、留年……?じゃあ、やっぱり生徒なんだ。
正直ガタイがいいのと大人っぽい雰囲気で社会人ぐらいだと思っていたけど。
「あー、うるせえな。キャンキャン言うんじゃねぇよ、ラギー」
「オレだって言いたかないッス!もー、やればできるのに何でやらないんスかぁ。ほら、行くッスよ!」
鋭く睨む男性…レオナさんに屈せずに慣れているのかぐいぐいと植物園から追い出そうとする男子生徒に凄いなと思ってその光景を見つめているとふとレオナさんと目があった。
苦虫を噛み潰したように渋い顔をしながらも急かされるので面倒臭そうに立ち上がると舌打ちをする。
「今度俺の縄張りに入る時は気をつけろよ。草食動物。次はない」
「わかり、ました…」
二人が立ち去るのを待つと、ようやく動くことができた。何だったんだあの人は凄みがありすぎてほとんど喋れなかった。
でも、結局何もされなかったなぁ。あの時殴られると思って覚悟したのに。
ほんと力が抜けた……温玉で喧嘩売って来た先輩ってすっごく優しい人だったんだって思い知った。何たって鶏肉のグリルで許してもらえたんだから。
「って…そうだ!忘れかけてたけど、栗拾い!!」
植物園の裏手に入ると沢山の木が生えている。何個かどんぐりの木まである。
奥に進もうとするとわぁわぁと騒ぐ声が聞こえて、いつもは少し煩いと思うくらいなのに今は何故だかすごくホッとする。
「見つけたー!みんな、栗拾いどこまで進んだー?」
「うおっ!?び、びっくりした…急に出てきて驚かせるなよ」
「あはは…つい。またグリムとエースで喧嘩?」
「違うんだゾ!」
聞いてみるとデュースとエースで一つの毬栗にどっちが栗が多く入っているかという勝負になってしまったらしい。なんとなくデュースが無自覚に煽ったんだろうな。