The end of the story 【ツイステ】
第5章 Spray パヒューム
植物園は……どこだっけ。
まだ行ったことなかったはずだけど、薬学室の隣だと思うんだけど……。
しばらく彷徨っていると…あ、ここ。
「コロシアムじゃん!!何故に逆方向に進んでたんだ?!ええー謎だ」
「アンタ、何をうろちょろしてんのよ。みっともないわよ」
「ふぇっ!!?」
「はぁ…なんて情けない声なの……」
呆れたような声は聞いたことのあるもので振り向くと自分の表情が若干引き攣ったのを感じた。
あまりにも綺麗を通り越して美しいと感じる顔立ちに貴族のような優雅な所作。
芸能人でもこんな綺麗な人って中々いないよ。
「あら、見たことあると思ったら。オンボロ寮の監督生とやらじゃないの」
「あ…あの?誰、ですか?」
戸惑いながら背の高い彼を見上げると少し驚いたように眉を上げる。
「アタシを知らない子がいるなんて……まぁいいわ。アタシはヴィル・シェーンハイト。ポムフィオーレで寮長をしているわ」
「私はユウです。それで何で私に声を…」
「動きが象のようでみっともないと思って声をかけただけよ」
「象……」
針のような一言がずさりと突き刺さる。象ってそんなドスドス歩いてるつもりはないけど、女性が羨む美貌って感じの人に文句は言えない。
多分実際そんなふうに見えて言っただけなんだろう。
「それでアンタ、コロシアムで何してるの?一年ならまだ用は無いと思うけれど」
「私、植物園に行きたくて…気づいたらコロシアムに……」
「なるほど、ならこっちよ。ついてきなさい」
「え!?」
まさかの返答に目を見張る私を見て鋭い目が私を睨む。何も言われてないのに背筋がピンッと伸びる。
下手な芸能人より顔が整ってるし、鋭い眼光にこの背の高さ…抜群の迫力に思わず腰が引けてくる。
ポムフィオーレの寮長というのも納得だ。エースの言っていた世界一美しい女王を体現したような人だと思う。
「す、すみません。案内してくれると思わなくて」
「失礼ね。アンタは今日からこの学園に通うことになったのでしょう?学園の中がよくわかっていなくても仕方ないわよ。アタシが案内してあげるんだからしっかり道を覚えることね」
いい?と首を傾げる先輩にこくりと頷いていた。
怖いと思ったけど、優しい人みたいだ。ローズハート先輩と同じで後輩思いの人って感じだ。戸惑いながらも先輩の案内で植物園に向かった。