The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「栗に熱を通して、皮を剥いて、裏ごしするところまで手伝ってもらおうか」
「なぁ。オレ様、帰っていいか?」
「僕も」
「薄情者!!な、なぁ、ユウ。お前は手伝ってくれるよな?」
手伝ってあげたいのは山々なんだけど……
「私、放課後は学園長に呼ばれてるの。多分、途中からしか手伝えないよ?」
「それでいいから!!」
「ふうーん?なら貸し一つ。こっちは巻き込まれた側だものタダでってわけにはいかない」
苦虫を噛み潰したような顔でエースが頷くのをみて、にっこりと冗談だよと笑った。
「なんだよ!!」
「ふふ、先輩の真似をしただけだよ。
謝るまで手伝うのは私も了承したことだからちゃんと最後まで付き合うよ」
随分と長引いているけれど、約束はちゃんと守らないと。元々エースが謝れるまでと考えていたから。
ムスッとした顔をしているのを見てついくすくすとと笑っていると小さな声で返事が返ってくる。
「……ありがとうな」
「どういたしまして」
「なんか、エースが素直だと気持ち悪いんだゾ」
「なんだと!!?この毛玉!」
「結局喧嘩はするのか…」
思わぬエースから出た感謝の言葉にグリムは毛を逆立て顔を顰める。いや、確かに私も珍しいなとは思ったけどそれは流石に失礼でしょ。
結局私だけじゃなくてデュースもグリムもタルト作りの手伝いをすることになった。ケイト先輩とトレイ先輩の手伝ったら出来立てのマロンタルトを食べられるという鶴の一声で。
なんて現金な子たちだ。
実際その現金な様子にエースが引き攣った顔で呆れているのを見て、先輩たちと一緒に苦笑してしまったくらいだ。
君たち仲良いねというケイト先輩の声にエースたち二人と一匹の否定する声がすぐさま飛んできたのは言うまでもない。十分仲良いと思うよ…私がちょっと羨ましくなるくらいだし。
放課後は植物園の裏で栗拾いをして、トレイ先輩とは食堂の厨房で会おうということで話がつく。次の授業へ向かおうと食べ終わった食器を片付けに行こうとした時に聞こえたハーツラビュル寮の生徒の寮長への不満の言葉で思わず足を止めた。
なんだか嫌な感じだ。ローズハート先輩は確かにやり過ぎなくらい、決まり事を守らせようとしているのかもしれない。でも、それって寮を良くしたいっていう先輩なりの優しさだと思う。