The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「本当はカレーを持ってこようかと思ったんですが、ジャミル先輩の方が絶対料理上手いし、会えるか分からないと思って……焼き菓子にしました。といっても購買で買ったもので手作りではないですが」
「ありがたいが………あれくらいで別に気にしなくてもいいんだぞ」
「いいえ。ジャミル先輩はそうでも私はとても嬉しかったことなのでお礼します。それに私の故郷は売られた恩は返さないといけないって言葉がある国なんですよ。どうか遠慮せず受け取ってください」
まぁ、そういうならありがたく受け取ろうとジャミル先輩は貰ってくれたのでほっとしてつい頬が緩んだ。良かった、食堂なら会えるかもと念のために購買に寄ってからきて。
「アルアジーム先輩にはグリムが式典服燃やしかけたので本当は弁償したかったんですが、お金が足りなくて火傷用の薬と傷薬しか買えませんでした……」
「ん?オレもか?初めて会ったと思ったけど」
「え、いや。入学式の時にグリムが式典服燃やしたと思うのでその謝罪です。本当なら本人にさせたいところですが、何分モンスターでまだ人間社会には不慣れなものですから代わりに私が謝罪に」
当然のように初めて会ったって返されて一瞬私も初めて会ったのかと思ってしまった。お尻燃やされるのは大分衝撃的な出来事だと思うけど、忘れたのか?この先輩は?
若干驚きながら渡すと呆れてため息を吐くジャミル先輩とは対象的にアルアジーム先輩はニコニコと笑う。この先輩たち、どうやらジャミル先輩が凄く苦労されているのは伝わってきた。
「すまんすまん!オレ、人の顔と名前を覚えるのって苦手なんだよなぁー」
「全く……カリムは……取り敢えずその薬は受け取っておくが念のため毒がないか確かめてもいいか?」
「毒……?その、構いませんけど…購買で買ってきたばかりでまだ空けてません。……でも、そうか。先輩は毒が入ってるのか疑ってるってことでいいですか?」
「悪いな。カリムは大富豪の跡取りで毒を盛られることは少なくないんだ」
「いえ…そういうことなら」
基本的に平和な国だし、毒なんて物語にしか出てこないから馴染みがなくてそこにまで考えがいかなかったなぁ。
えっと……毒が入ってないってわかればいいんだっけ?うーん。量が減るのは避けたいけど、仕方ないか。
悩んだ末にとった行動に食堂内の空気が凍りついたように感じて私は首を傾げた。