The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「え?そうなのー?割とどこの地域にも異種族はいるけど……じゃあ、人魚や妖精族に会ったこともないって感じかな?」
「人魚?!妖精?!」
「お、その反応はないんだね」
「私のいた場所には人間しかいなかったのでそんな種族いるんですね……」
私が興味深そうに呟くととんでもない田舎から来たのかと思われたみたいだ。別に先輩たちなら私が異世界から来たこと話してもいいかもしれないけど、学園長から許可貰ってないからひとまず保留かな?
「じゃあーあの灰色と薄紫の腕章を付けてるのは?」
「あぁ、彼はオクタヴィネル寮だな」
眼鏡をかけていてスッと伸びた背筋、確実に真面目そうという印象だ。エースやグリムとは相性悪そう。
「その手前のテーブルに座ってる臙脂と黄色の腕章はスカラビア寮だ」
「うん……あの二人は見覚えがある…って…あ!」
「!…突然どうしたんだ?大声出して」
驚いたじゃないかと私の出した声に驚いて先輩たちまで私を見ているのに気づく。すみません……。
先輩が見ていたスカラビアの生徒は思いっきり知り合いだ。一人はとてもお世話になったし、もう一人はグリムの炎のせいで迷惑をかけてしまった人だ。
ちゃんとお礼を言いに行かなくては……。
「すみません、つい。お世話になった知り合いの先輩がいたものですから」
「そうなのか?」
「はい。少し席を外しますね、話したらすぐに戻ります」
席を立ってオクタヴィネルの生徒の近くにいた二人の側に近づくと、真っ先にジャミル先輩が気づいて声をかけてくる。
はわー、相変わらず綺麗って言葉が似合う人だ。
「どうしたんだ?ユウ」
「こんにちは、ジャミル先輩。それにアルアジーム先輩。食事中に失礼します、少しお話ししたいことがありまして」
「ん?なんだ、なんだ?ジャミルの友達か?」
アルアジーム先輩に会うのは入学式の時以来かな?そんなに日にちは経っていないはずなのにグリムたちといると随分前のことのように感じられるなぁ。
「…えと、ジャミル先輩に用があります。その、昨日の夜にスカラビアでハーブティーを頂いてとても美味しかったのでそのお礼をしようと思いまして」
お礼と言っても大したものは出来ないからそこが一番困りどころだった。
聞いた限りじゃお金に困ってない様子だし、豪華なものはジャミル先輩は見慣れていそうだったから。