The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
「包帯を変えにきただけじゃ無さそうだね。さ、ここに座って……」
「ふ、二日連続ですみません……」
保健室に着くと先生がにっこりと笑って座らせる。話しながら手際よく包帯を変えてくれるので本当にすごい。
「君が来ることは星が教えてくれたけど、今回は内容まで分からなくてね。ローズハートくんが処置をしてくれたんだって?」
「えぇ、呼吸の仕方からして過呼吸だと思い、処置させていただきました。袋がなくて、ちゃんとした処置までできませんでしたが…」
「完璧ですよ。流石ですね、見た感じ呼吸状態も意識の確認も取れますし、応答もできます。手足の痺れはありますか?」
「倒れた時はあって動けませんでしたが、今は大分マシになりました」
本当に先輩には感謝してもしきれない。その分、これ以上気苦労をかけないように問題児の様子を見張ることに努める他、ないような気がしてきた。
「しかし、過呼吸の原因が何か分かるかな?もちろん、無理に話して欲しいとは言わない」
「………そこまで大した理由じゃないですよ。バルガス先生の指導のもとグランドを走っていたんですが、五周目を走りきったところで倒れてしまっただけです。本当にお手数をおかけしました……」
「五周目で?!ボクも体力に自信があるわけではないけど、そこまで体力がないって……流石にボクも驚きだよ」
「す、すみません…ローズハート先輩」
怒ってないし謝らないでと困った顔をされて押し黙る。その顔は弱いのでやめてください……。
「はい、これで巻けたよ。でも、様子を見た限りローズハートくんのおかげで呼吸も安定している。
病院に行かなくても大丈夫そうでよかったよ」
「ありがとうございます、先生」
「走ったことで過呼吸になるなんて…しかもたった五周走っただけで。君は身体が弱いのかい?」
「いえ……その……そういうわけでは……」
正直に言って欲しいと真っ直ぐな目で見つめられ、しどろもどろと声を震わせる。先生をチラリと見たけど、ニコニコと笑うばかりで助けてくれる気は少しもないみたいだ。
「し、…」
「し?」
「失礼しましたーぁ!!!」
バタバタと走り去っていく後輩の後ろ姿を注意することも忘れ、ぽかんと珍しく唖然とした表情で見送る姿に思わず先生は声を押し殺して笑う。