The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
酸素を取り込もうと必死に肺を動かして呼吸をしようとするのに吐くばかりで吸えない。焦って更に呼吸が出来なくて、視界がぐらぐらと不安定になってくると流石の私もまずいと感じてくる。
早く走って先生を困らせないようにしないといけないのに。
明らかに様子がおかしいと感じた先生やエースとデュース、グリムが声を掛けてきたり、肩を叩かれて意識の確認をされる。なのに、上手く言葉を発せなくなっていた。
周りの生徒たちはその異常事態に薬学室で私に何やら言ってきた人まで慌てていた。根は悪い人じゃないんだと必死に立て直そうと呼吸する頭の片隅で思う。
先生が私を保健室まで運ぼうとしてるのが会話の内容で伝わってきて、エースとデュースが真っ青に青ざめた顔で私の名前を呼ぶのに返事ができなくてもどかしく感じていると更に芝生の上を走ってくる音が聞こえてくる。
エースたちが思わず口に出した寮長の言葉ですぐにあの真紅の髪が頭に思い浮かべる。
「どうしたんですか?!バルガス先生……」
「ローズハートか!授業の途中で倒れた生徒が出て、保健室に運ぶところだ」
「君は……購買部で会った……いや今はそんなこと、言ってる場合じゃないね。バルガス先生、ボクは少しですが医療の知識があります。応急処置をさせてください」
「……分かった。ローズハートならしっかりと処置をしてくれるだろう。オレは生徒たちの授業の引き継ぎと保健室の手配をしよう。学園長に連絡して病院の手配も検討しなくては」
先生の立ち去る音と一緒に意外と力強く抱き起こされる手に気づいて、聞こえるか聞こえないかぐらいのか細い声で私を抱き起す腕が掴んで言うけど、震えた声じゃ随分と聞き取りづらいものになっただろう。
「先輩…ひゅ…お、てすう……ひ、…おかけ」
「無理に喋る必要はないよ。
ふむ。これは過呼吸かな……あいにく使えそうな袋を持ち合わせていないんだ。支えているからボクの呼吸に合わせて呼吸をするんだ」
「ひゅ…は、…はい」
「うん。いい子だ」
ぽんぽんと頭を撫でる温かい手に安心して、ゆっくりてした呼吸音に合わせて息を整える。
先輩からは庭園から感じた花の香りがする。
温かい手が背中をさすって呼吸を促してくれるので合わせて呼吸をするとだんだん霞んでいたはずの視界がはっきりと見えてくる。