The end of the story 【ツイステ】
第4章 stolenスイーツ!
次の時間は体力育成。
うぇ…先生には失礼だけど、
私の大嫌いな時間が来た。
更衣室がないから仕方なく個室のトイレで着替えるとエースたちと合流してグラウンドに向かった。授業終わりですぐに着替えを持ってトイレに向かったからバレてないか正直心配だったけど、どうやら上手く誤魔化せたらしい。
広い運動場に向かうと青々とした芝生の上に腕組みをして待ち構えていたのは思わず目が点になりそうなムキムキな男性。
こんな人、昔テレビで見たボディビルダーの人みたい。現実味がない……
「オレはアシュトン・バルガス。お前らの体力育成を担当する。モヤシのような体をオレが鍛えていく!優秀な魔法士はまず筋肉から!見ろ!この生卵を飲んで鍛えたこの筋肉!魔法士たるものはまずは体力が必要だ!」
生卵?先生がどうやって食べたのか知らないけど、私卵かけご飯が食べたいなぁ。
ちなみに私は醤油派。
バターを乗せても美味しいよね。
ダメだ。お腹が空いてきて現実逃避のために色々考えてしまう。
自慢げに肉体を見せる先生に微妙な気分になりながら話を聞く。まずそのジャージどうにかならないのかな。そんなパツパツならもっと大きめのサイズ買えばいいのに。
筋肉が強調されすぎて……ちょっと。
「そんなわけでまずはグランド20周。次に腕立て伏せ100回!」
「ひぇ……無理無理無理」
「もしかして学園長…コイツが女だってことまだ伝えてないんじゃ……」
「ありえる…あの先生だからな。忘れていそうだ」
なにそれ!女子の記録からしても運動能力は底辺なのに!!そんなの無理だ!!
プルプルと涙目になって震える私にエースとデュースが顔を見合わせていざとなったらフォローに入るからと言ってくれて、ようやくみんなと並んで走り始めたけど………
「そこまで体力がないって……流石のボクも驚きだよ」
「す、すみません……ローズハート先輩」
いくらボクでももっと走れるという先輩に縮こまるばかりだ。
何故こうなったかと言うと授業のほぼ前半で倒れたのだ。バルガス先生の指導のもと、20周は無理でも半分の10周くらいはと思ったのに。
出だしから置いていかれて他の生徒にクスクス笑われていたけど、木にする余裕なんて私にはなかった。一周目で既にキツくなって、ついには四周目で視界がぐるりと回って途中で倒れたのだ。