第7章 衝動と反応と【赤葦京治】
穂波ちゃんの家がある駅に降りて、
家までの道を手を繋いで歩く。
さっきから当たり前のように手を繋いでいるけれど、
これは順番的にどうなのだろうか?
知りたいと言ったし、実際にそう思うのだが、
何をどうやって知りたいのか、
離れたくないという気持ちのいく先が何なのかは掴めていない。
…はずだったのに
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『…京治くん、ラクにしててね。いま何か作るね。簡単なものだけど…』
そう言って腕を背中に回してエプロンをかけるその仕草ひとつが、
俺のストッパーを破壊するには十分すぎるほど力があって…
なんてこんなことはただの言い訳でしかなく。
ただただ、もっと触れたい。
肌に触れたいのだ。
彼女の体温を感じたいのだ。
それが知ることに繋がるとでもいうかのように。
もうすでに衝動を抑えられなかったから今この状況があるわけで、
ここに来ていきなり抑えられるはずもなく、
腕を掴み抱き寄せて、後頭部に手を添え唇を奪った。
さっき穂波ちゃんにされたように、
少し吸い付くように口付ける。
唇が離れたかと思うと、
穂波ちゃんの方からまた口付けてくる。
吸い付くように、啄むように。
初めて体験することなのに、
体は全部知っているのだろうか、
流れるように自然とキスに熱が帯びてゆく。
『…京治くん、…あの、さ』
「…ん?」
俺の頬を両手で包んだまま、
唇が離れただけのすごく近い距離で俺を見上げながら何か言おうとしてる
互いの生暖かい湿った息が混じり合う
息遣い、息の音、その湿度、温度…
そんなものにすら身体がいちいち反応する
ゾクゾクして、熱くなる