第6章 今を【木兎光太郎】
穂波ちゃん。
その子の名前。
いきなり登場した俺にも俺のテンションにも、
押されることも流されることも引くこともなく会話をしてくれる。
俺の目を真っ直ぐに見て。
あれあれ?これは俺、好きになっちゃうかも。
それから一緒に来ているというお兄さんがやってきて自己紹介、
そして何と、お兄さんは急用ができてすぐにここをでるという。
ショッピングモールの人の多さでぱやぱやしちゃってる穂波ちゃんを、
駅まで頼むというお願い事をされてしまった!
そんなの喜んで引き受ける。
まるで運命のいたずらみたいだ! 使い方あってる?
とりあえず昼飯食ってから駅に向かう。
ハンバーガー屋で告白したけどあっさり振られた。
フラれたっつーかなんつーか、まぁ俺の言い方も変だったのかなぁ…
ただ好きって言いたかったし、
それは彼氏がいてもいなくても関係ないこと!
…そんときは今どうこうしたいってわけでもなかったんだけど。
一緒にお互い乗り換えの駅まで電車に乗ってるとだんだん離れるのが恋しくなってくる。
電車の角に穂波ちゃんを寄せて人混みから避けるようにする。
穂波ちゃんは別に小さいわけじゃないけど、
でもまぁ、俺よりは小さいし胸元に顔が来て見上げられるとすんげー可愛い。