• テキストサイズ

【BLEACH】愛しい君に愛の言葉を

第1章 聞こえない声、見えない心(九番隊)


隊長の言うとおり彼女の字は綺麗だった。
というよりは、いろいろな字を自在に書いた。
仰々しい筆文字は力強く、流れるような繊細な字も若者向けの記事には読みやすいポップな字も、それはもう多彩なものだった。

俺はこの八席を紹介されたとき、盲目の隊長が綺麗な字を「書くそうだよ」とは言わず「書くんだ」と言い切ったことを不思議に思っていた。
そんな疑問も八席が働き始めてすぐにわかった。
声が出ない彼女は隊長と会話するときは、隊長の手のひらにその文字を書く。
隊長はそれを読み取って返答をするのだった。
瀞霊廷通信の編集で年中バタバタしている九番隊ではあるが、彼女と話すときだけはゆったりと急かすことなく隊長は彼女の言葉を読むのである。
互いに手を取り、微笑みながら緩やかに過ぎるその時間はとても仲睦まじい雰囲気で周りの者が照れてしまうほどだった。
周りの奴らはきっと彼女が隊長の『いい人』であると思っていたに違いない。
それに加えて彼女は引っ込み思案で恥ずかしがり屋、口が利けないのもあいまって、他の隊士となかなか打ち解けることができなかった。
でも俺は知っていた。
本来の彼女は出せない声の変わりに自分の感情を伝えようと表情は多彩で、特に嬉しいとか楽しいとかそうゆうプラスの感情は体全体で表現するのだ。
ただ、それも慣れた者にしか見せないのだが…
まぁ、見てて飽きない奴だなと思っていた。

/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp