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その風は想いを紡ぐ(弱虫ペダル短編集)

第2章 すきなひと。(総北逆ハー)


「やっぱ速ェなお前らは!100本アタックの後でもそんな元気あんのかよ」
「大体5分差くらいか…」
「がーっ!俺が一番取るつもりだったのに!!そんで褒めてもらうつもりだったのにーっ!」

流れる汗をタオルで拭き取りながら手嶋は小野田たちに呆れて笑った。

「で?今は何で揉めてんだ?」
「いやーそれが僕にもわからなくてですね…好きな人のタイプを話してたんですが…」
「好きな人のタイプ?」

「はいはいはーい!!俺はいつも速いね、頑張ってるね!って褒めてくれるから好きっす!!」
「お前には聞いてない、鏑木…大体誰の話だ」

いきなり話に乱入した鏑木を青八木が首根っこを掴んで止める。

「いーじゃないスか!青八木さん!大体青八木さんはどうなんですか!!」
「俺は……まず相手がどうこうよりも俺自身が田所さんみたいな強くて速い人になってからだと思ってる」
「なんでそんな真面目なんスか!」


「鏑木、お前一年なんだから身を引け」
「へ?」
「そこだけはワイも同じ意見や!」
「はぁ?!!てか今泉さんも鳴子さんもまさか…!」


より一層収集がつかない。
輪をかけて騒がしくなった奴らを見て手嶋はやれやれと言葉を漏らした。
もう放っておくかと思い始めた時、


「手嶋さんにも聞いて良いですか?」
「俺か?」
「あれ?でもみんなが言ってる様な人って……」

小野田から同じ質問が手嶋へと投げられた。
と同時に小野田が何かに気付く。
みんなのタイプの共通点として思い浮かぶ人物が1人、いる。


「そうだなぁ…」



なんて、考えるまでもねぇか。



「あ、手嶋さんっ!ここにいたんですね!ボトルの交換持ってきたので空のボトルくださいー!」

手嶋が答えを口にしようとした瞬間、ボトルを抱えて走ってくるマネージャーの姿が見えた。
2年マネージャー。

「あっ!」

彼女の顔を見て小野田の中で答えに繋がる。

感情が豊かで、誰にでも優しくて、一生懸命で。
それなのにちょっと抜けていて。
守りたくなるような。
そう、正に今泉や鳴子、鏑木の好きなタイプ。
いや、タイプとして語っていたのがそのものだったのだ。


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