第74章 忍界大戦7
山から下りた先は見知らぬ街だった。
こんな所に住んだ記憶はレンには無い。
「ねぇ。ここってどこら辺なの?」
「火の国だろ。」
「木の葉の里に近い?」
木の葉の里、と言った瞬間、リヨクが嫌な顔をする。
「あんな危ない所行けるかよ。何されるか分かったもんじゃないぞ。」
その答えにレンは瞠目する。
「…じゃあ、ダンゾウを知ってる?」
「…誰だ、それ。」
レンとリヨクはお互いを見て瞠目する。
「待って。ちょっと待って。依頼って何処に取りに行くの?」
レンはてっきり任務の類かと思っていたので、自分の知らない情報に取り乱す。
せめて、今から何処に行くのか位は知りたいところ。
「何処って、いつも行ってる所じゃないか。何言ってんだよ。」
「だから、それが知りたい。いつも何処行ってたっけ?」
「ほら、すぐそこの幟旗が立ってる所だよ。」
リヨクが指さす方向に”引合せ処”とあった。
「それよりダンゾウって誰だよ。お前、俺の知らない間に変な奴と取引きしてるんじゃないだろうな。」
リヨクは怪訝な顔でレンを見る。
本当に記憶に無いのか、と驚くしかなかった。
知らないのならば、知らないままの方がいい。
ダンゾウを思い出したところで、何の得もない。
「いや、してない。取引きなんてやったことない。ダンゾウは誰だったのか私も覚えてない。」
レンは無表情で淡々と話す。
嘘を気取られないようにするには感情を乗せずに要件だけを淡々と言う。それが一番成功率が高い。
リヨクは疑わしそうな目で見た後、少し肩を竦めた。
「…まぁ、危ないことしてないならいいが。俺に黙って事を進めるなよ。」
その言葉にレンは神妙に頷く。
「約束する。」