第71章 〜〜幕間5〜〜
本当は、目をかけられていたのは俺だった。
だから、あの日死ぬのもレンだった。
レンは霧隠の氷遁の一族の生き残り。
成長すれば里の脅威になる。
木の葉に牙を向ける前に消してしまう必要があった。
俺に充てがうことで、試練の役にも立てるし、消すこともできて一石二鳥だったんだろう。
だから、何も知らないまま、弱いままのレンを根に引き入れたんだ。
全部知ってた。
だけど、俺は守りたかった。
レンを殺してまで生き残りたくはなかった。
けど、大恩あるダンゾウ様を裏切るわけにはいかない。
逃げられない。
だから、試練は避けては通れない。
だとすると、取れる道なんか一つしか残らない。
だから、ずっと前から決めていた。
俺が死ぬ。
レンは絶対守る。
俺の唯一の、この世で一番大事なものだから。