第67章 忍界大戦1
レン達は護送されるような形で、見張られながら木の葉の里まで連れて行かれる。
木の葉の里は、遺跡から走って半刻足らずで着く距離にあった為、程なくして整備された道に入り、門が見えてきた。
レンは、あ・うんの門を見上げて立ち止まる。
この門を潜るのは何年振りだろうと、つい思ってしまった。
それは、感慨深いような、年月を実感するような、何とも言えない心地だった。
「止まらずに歩いてください。」
後ろから見張っている内の一人に声をかけられ、レンはまた黙って前を向いて歩き出す。
「大丈夫か?レン…。」
鶴丸が心配そうに覗き込む。
色々と思うところがあるんじゃないだろうか…。
対して、レンは首を傾げる。
心配されるようなことは…と思ってから思い当たる。
そういえば、色々と昔の話をしたんだった。
過保護な彼等はレンの機微にとても敏感だ。
「大丈夫です。問題ありません。」
「本当か…?」
「はい。特に思うことなんてないですよ。
別の意味でなら気がかりなことがありますが…。」
「何だ?」
「邪気が見えるようになってるんです。そして、その反対の気も可視化出来てる感じです。」
そう。
目下、レンにはこちらの方が気になるところだ。
今までこの世界で邪気など見たことがなかった。
見えるようになったのは異界に渡ってから。
それも、邪気の反対の気…つまり清浄な気など向こうの世界でも見たことがなかった。
「それのどこがいけないんだ?」
鶴丸は分からず尋ねる。
いいことのように思えるが…。
薬研も同様に首を傾げている様子。
「邪気って確か、争いや諍いがある所に出やすいって聞きましたよ。で、今から私達が行く所は戦争の最前線。」
「「……!」」
鶴丸と薬研は瞠目する。
「そうか、そういうことか。」
「何だか急に不安になってきたな。」
レンの話に、2人は難しい顔をして考え込んだ。