第65章 演練大会ーその後ー
――その夜…。――
「鶴さん、本当にレンちゃんの部屋で寝るのかい?」
燭台切は、伊達部屋から布団を運び始めた鶴丸に問いかける。
「まだ熱が下がらず、ふらふらしているからな。念の為だ。」
鶴丸は、上機嫌で答えた。
彼等には、それがどうしても口実に聞こえてしまう。
「…鶴丸。本当に大丈夫か?」
「レンがあんなだからって夜這いは犯罪だぜ?」
「気が迷っても、しっかり戻ってきてね。」
大倶利伽羅、太鼓鐘、燭台切は、心配そうに鶴丸を見る。
「…キミ等は、俺をどういう目で見てるんだ?」
あんまりな言い様に、鶴丸から思わず低い声が出た。
「…いや、杞憂ならいいんだ。」
目が合った燭台切は、すっと視線を逸らしながら言い訳をする。
「ま、まぁ。間違いがなければそれでいいさ。」
太鼓鐘も宥めるように言うと、鶴丸は少しため息をついた。
「俺は、ただ心配から審神者の世話をするだけだ。何がある訳じゃない。」
「それもそうだな…。じゃあ、レンを頼んだ!」
太鼓鐘はにかっと笑って鶴丸を送り出す。
「うん…。レンちゃんをお願いね。鶴さん。」
燭台切は、太鼓鐘を優しげに見てから鶴丸を見て、レンを託した。
「あぁ。任せろ。」
鶴丸は荷物を持ち、審神者部屋へと歩き出した。
あれこれと看病をしつつ、鶴丸は自身の寝支度を整えて、布団をレンの隣に敷く。
「これでよし。」
彼は、薬が効いて穏やかに眠るレンを見てから床に就いた。
ー明日、少しは回復しているといいんだが…。
「…おやすみ。」
眠るレンに声をかけて目を瞑った。