第65章 演練大会ーその後ー
レンを寝かせてひと段落した頃、刀剣達は誰ともなく噂を聞きつけ広間に集まってきた。
「レンが怪我したって本当かい?」
「演練に行ったんだよな?どうやったら怪我するんだ?」
歌仙と厚は加州に詰め寄る。
「ちょっと待ってって。みんな揃ったら説明するからっ。」
「何それ。勿体ぶるなんて趣味悪い。」
大和守は頬を膨らませて半眼で加州を見遣る。
「俺も説明しづらい立ち位置なんだよっ。」
一足先に、大和守に広間へと連れてこられていた加州は、刀剣達から質問攻めに遭っていた。
「お待たせ。レンちゃん寝かせてきたよ。」
その時丁度、内服に着替えた燭台切達が広間に入ってきて、皆の視線は彼等に向いた。
加州は逃れられた安堵でほっと息をつく。
「あ、主様は大丈夫でしょうか?」
五虎退が燭台切に駆け寄って心配そうに聞くと、彼は微笑んで五虎退の頭を撫でる。
「大丈夫だよ。疲れが重なって熱が出たようなものだから。」
「怪我をした、というのは本当か?」
三日月は、強ばった顔で問う。
「うん、本当だよ。色々アクシデントが重なったんだ。」
「賊にでも襲われたのか?」
獅子王が目元を険しくさせた。
だが、演練に出た彼等は一様に首を横に振る。
「まずは、演練大会のことを話そうか。」
燭台切は、そう言って切り出した。