第62章 バーベキュー ーその2ー
「今度こそ!」
「薬研!」
「応!」
乱が先陣を切り短刀を模した木刀を振りかぶる。
レンはそれをするりと躱すと、乱の腰元に片足を掛け、そのまま蹴り飛ばす。
間髪入れずに背後から薬研が突きを繰り出す。が、ぎりぎりの所で避けて伸びてきた腕を取り、勢いを利用して投げ飛ばす。
「やあぁぁ!!」
「遅い。」
一泊遅れて振りかぶる厚に、レンは難なく掌を胸部に当てる。柔拳の正拳突きに近い。
「げほっ…!」
が、あくまでレンの型は忍組手。
厚は、突きを打ち込まれた衝撃で体が強ばり、背中を強か打ってしまう。
思わず息を詰めた。
「し、しぬかと思った…。」
つまり、何が言いたいかというと。
一撃必殺のようなレンの技は、一発でも当たると、死ぬ程痛苦しいということ。
「ダメじゃないですか。連携で大事なのは相手に時間を与えないこと。一瞬の躊躇いが命取りです。」
「ま、参りました…。」
厚は床に転がったまま、側に立つレンを見上げた。