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君に届くまで

第61章 主の弱さ



その時、ぽんぽんと、頭を撫でられる。

その手がやけに温かくて、ひどく優しかった。
撫でられる度に、涙が後から後から溢れてくる。
止めたくても止められなくて、止めようと頑張る度に呼吸が苦しくなる。

せめて顔は見られたくなくて、膝を抱えて蹲った。

「泣けるなら…泣いとけ。…きっと、楽になる。」

残酷なくらいに優しくて、甘い言葉だった。

もう、止められなかった。

赦されてはいけない、と頭の隅で思いながらも、今だけは、この温かさに甘えていたかった。

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