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君に届くまで

第60章 主と酒と



「おまさんは、どこの出やか?」

「気になってたんだが、審神者はみんなあんな術使うのか?」

陸奥守と御手杵もレンの向かい側から身を乗り出した。

「たぶん、影分身とかを使うのは私だけだと思います。私はこの国の出身ではありませんので。」

彼等が会話をしている間に次を注ぐと、主はそれをまたくぃっと呷る。

「なら、お国はどこぜよ?」

「火の国、ってとこです。」

「聞いたことないな。」

陸奥守と御手杵は首を傾げる。
アタシも気になり、耳を澄ます。

「そもそも、ここではない世界から時空間移動で飛ばされて来たので。聞いたことないのも無理ないと思います。」

「それやったら、あれか!主は宇宙人なんか!?」

陸奥守は驚きの声を上げる。
御手杵は勿論、そばで聞いていたアタシ達も同様に目を瞠った。
丁度、この間UFO特集がテレビでやっていたばかりだ。
あれと主が同じようには思えないが…。

主は、その言葉にきょとんとした後、あぁ、と少し思案すると、

「…まぁ、そうですね。そうなんるじゃないですか?」

と、平然と肯定する。

あれと同じ括りにされるのは嫌がるものじゃないかな…。
困惑気味に視線を周りに向けると、主を挟んで隣にいた日本号と目が合った。
彼も困惑気味な表情を浮かべている。
そうだよね、そう思うよね。

「…あれか?宇宙人はみんなあんな不思議な術を使うのか?」

その中で御手杵が更に質問を重ねる。

「大将は忍者なんだよ。大将の世界では当たり前に忍者がいるんだとさ。」

その問いにどこからかひょっこり現れた薬研が答えた。
兄貴の隣でちゃっかり徳利1本をお猪口に注いでいる。
その後ろから乱が現れ、薬研の肩に両手を乗せる。

「すごいんだよ?氷で槍は作るし、風の突風で家の残骸は吹き飛ばすし。」

「それに、俺をおんぶしたまま3階から飛び降りてもぴんぴんしてるんだよ。」

加州もアタシの隣に来て座り込む。
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