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君に届くまで

第57章 宴



「弟が、弟が悪うございました!ですから何卒鶴丸殿をお止めくだされ!」

「…何で?」

レンは不思議そうに首を傾げる。

「何故…って、見ればわかるでしょう!?あれでは死んでしまいます!!」

一護一振は涙目でレンに訴えるも、彼女は肩を竦めるだけだった。

「大丈夫だと思いますよ?あれは戯れてるだけじゃないですか?
だって本当に殺そうと思っていたら、あれでは永遠に殺せません。人の首はそう簡単には折れませんから。」

「え…?」

あまりにも斜め上の回答に、一護一振は絶句する。

「人の首を折ろうと思うなら、根元から入らないと。更に言うなら、引っ張るように関節を外して斜めに思いっきり捻り…」
「こわ!!!」

「ちょっと、何それ!めちゃくちゃ怖いんだけど!!」

いつの間にやら、加州と大和守が軒下から廊下に上がっており、レンに詰め寄るように体を揺する。

「すっごいリアルだよ!?」

「まるでやったことあるみたいに!!」

詰め寄る2人の目は涙目だ。

「げほっ!ごほ、ごほっ…!」

咳き込む音がしてレンが視線を向けると、鯰尾は漸く解放されたようだ。
鶴丸は鯰尾の背に乗り掛かったまま、呆然とレンを見る。

「まぁ、やっていましたから。それが私の仕事でしたし。」

それを聞いて、その場にいた全員がピシリと固まる。

「…何を驚いてるんですか。暗部にいたって話したじゃないですか。」

それを見たレンは、少し困ったように彼等を見遣った。

「…今更だけど、…暗部って何?」

大和守が恐る恐る尋ねる。

「あれ?言ってませんでしたっけ?暗殺戦術特殊部隊、通称…」
「ごめん、もうわかった。もう聞かない。だからもう言わないで〜…。」

加州と大和守は涙目のまま天を仰ぐ。
鶴丸、鯰尾、一護一振は、顔を青褪めさせては3人で身を寄せ合い、レンを見る。

「…言わない方がよかったかな…。」

それを益々困ったように眺めるレンだった。

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