第54章 政府の企み ーその2ー
「お忙しいところすみません。本丸を監視する部署に行きたいのですが。急ぎで伝言を預かっているんです。」
「本丸を監視、ですか。すみません。ちょっと心当たりが無くて…。」
その人は用があるのか、腕時計をチラリと見ながらレンに答えた。
「そうですか…。ありがとうございました。」
レンがお礼を言うと、その人はお座なりに返事を返しながら小走りで出て行く。
レンは次の標的を探しては、同じ様に引き止めて聞き込みをしていく。
数人に聞いて回ったが中々思うような情報が得られない。
ーキーワードを変えてみようか。
レンは考えながら、歩き回っていると、
「すみません!レンさんですか!?」
少し離れた所から、女性に呼び止められた。
何故、名前を…?
レンは警戒しながらその女性に近づいていく。
「…はい。レンです。」
「警備課から内線が入っています。」
こちらです、と言って女性は案内をする。
指し示された受話器を取ると、はい、と応答をする。
『よぉ。あんたがレンか。』
女性に目でお礼を言って遠ざけた後、会話を悟られ難いように後ろを向く。
「あんた、誰だ。何故私の名前を知っている?」
『…あれ?声が違うな。お前本当にレンか?』
本当の声を知っているのか。
どういうことだ…?
「…訳あって今は本当の声は出せない。」
『例の妖術か?』
「本当に、誰なんだ?」
レンは疑いを隠さず、問い返す。