第54章 政府の企み ーその2ー
「レン!」
加州をはじめ、刀剣達が心配そうにレンに集まった。
「大丈夫ですよ。試してみるだけです。変化の術を使えば偵察くらいは出来ますよ。」
「変装のこと?」
「そうです。見た目も身長も全く変わりますから。」
そう聞いても、彼等にしてみれば落ち着いてはいられない。
レンはそんな刀剣達を穏やかに見る。
「大丈夫ですって。次は無事に無傷で帰って来ます。」
「…どうしても行くの?」
乱が尋ねるも、レンの答えは変わらない。
「出来る限りをしなければ諦めが付きませんから。」
加州はふっと小さく苦く笑った。
最初にこんのすけを助けに行った時も同じことを言っていたな、と彼は思い出す。
もう、何を言ってもレンは意見を覆すことはないだろう。
「…絶対…、絶対に無事に戻って。もしレンが捕まったら、死んだら、元も子もないって忘れないで。」
加州は祈るようにレンに言う。
「僕達がいるって、忘れないでね。無茶しないで。」
大和守も沈痛な面持ちでレンに言う。
「危ないと思ったら、迷わず引き返すこと。約束だよ。」
燭台切も心配そうに言い含める。
「わかってます。絶対に無事に戻ると約束します。」
レンは力強く言う。
「よし、なら早いうちがいい。頼んだぞ。」
今ならまだ警備は厳重とまではいかないだろう。
この機は逃したくない。
「すぐに出ます。」
レンはそう言って、加州から通行証を受け取ると、簡易転移装置を発動させた。