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君に届くまで

第54章 政府の企み ーその2ー



事のあらましを聞き終えた七海は、怒りを通り越して呆れ返った。

「信じらんない。」

「馬鹿じゃないの。」

「恩を仇で返すってどういうことよ。」

「あんたと同じ審神者なんて反吐が出るわ。」

などなど…。
苛立ちが収まらない七海は、思いつく限りの悪態をレンにぶつける。
レンはその度に頭を下げてひたすら謝り続けた。
薬研も冷や汗を流しながら、レンの横でひたすら頭を下げる。

「だいたい、何で私に直接聞かないのよ。事情を話してくれればこっちだって変に隠したりはしないわよ。なに回りくどい事してるのよ。私を限界まで怒らせたいの?」

「すみません。どうしても本音の本音が聞きたかったので。」

あくまで淡々と言うレンの態度は、七海を益々苛立たせる。

「それが可笑しいって言ってんのが分からないわけ?」

「すみません…。」

レンは内心頭を抱えた。
こういった場面に出会したことが無い為、怒りの収め方がいまいち分からない。

「謝ればいいってもんじゃないわよ。」

七海は苛々としながら、頭を下げるレンを睨め付ける。
それを見ていた薬研は、堪らず横から口を挟んだ。

「本当に悪かった。
レンは悪くないんだ。俺達が悪いんだ。」

薬研はガバッと身を起こすと、必死に言い募る。

「レンは、七海さんは裏切らないって信じてたんだ。けれど、俺達が…俺がどうしても信じられなかった。」

薬研はそう言って、視線を落とした。

「俺は、あんたに負い目がある。
あの日、一兄が禍ツ神に堕ちたのは本当だ。俺はそれを止められなかった。俺が止められていたら、あんたのお姉さんは死なずに済んだかもしれない。
だから、江藤の話を聞いた時、あんたが俺達を恨んでいるという話を疑わなかった。
きっとあんたは俺を恨んでる筈。そう思っちまった。」

薬研は、再び七海を真っ直ぐに見る。
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