第52章 審神者代理
「お前、本末転倒になってねぇか!?」
瀬戸が再び割り込んだ。
「急な予定変更の要求をするからです。」
「審神者の責務はどうするつもりだ!!」
それを聞いた途端、レンは半眼で鼻じらむ。
「何ですか、責務って。銃で殺されることが責務ですか。」
「何の話だ!それは!」
「ちょっとストップ!!」
さゆりは、混沌と化してきた流れを切るように待ったをかける。
「とにかく、現状の擦り合わせが必要だと思うのだけど。」
「あの、その前に。あなたは誰ですか?」
レンは初めて会う為、彼女の名前も素性もわからない。
「あなたの本丸で審神者代理を務めています。さゆりです。」
「あ、どうも。レンです。」
次いで、レンが次の質問を繰り出そうとした時、表が騒がしいことに気が付き、外を向く。
「七海様〜!!」
見覚えがあるような無いような人が、肩に狐を乗せて飛び込んできた。
「ななみ…?」
レンは、誰のことかと首を傾げていると、長谷部はまっすぐさゆりに向かって走って来る。
「よかった!!七海様!この長谷部を置いていくなんて酷いではありませんか!!」
「…ななみって言ったよね?」
大和守はレンに確認して、レンも頷いた。
「君、”ななみ”って名前なのかい?」
さゆりの隣にいた燭台切は、彼女を見ながら問いかけた。
さゆりは眉をひくひくさせながら、額に手を当てる。
「長谷部…。」
「何でしょう?」
長谷部は主に辿り着いた嬉しさから、上機嫌でにこにこと笑っている。
それを見たさゆりは、カッと目を見開いた。
「あなたは内と外の区別も付かないの〜!!?」
彼女は、長谷部の襟首掴んで揺さぶる。
一瞬、何のことを言われているのか分からず、きょとんとした後、しまった、という表情を浮かべた。
「す、すみません…。」
長谷部は、失態に気づいて頭を抱える。
「…取り敢えず、落ち着きましょうか。奥の応接室使っていいから。」
見かねた佐藤が奥へ促した。