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君に届くまで

第6章 帰り道を探して



「ごちそうさまでした。」

レンは手を箸を置いて合わせると、そう告げた。

「お粗末様でした。」

燭台切は微笑んで返した。

レンは食器を流しまで運ぶと洗い始める。
律儀な子だ、と燭台切は思う。

食器を洗い終わり、レンは燭台切に向き直る。

「燭台切さん。」

「燭台切、でいいよ。長いから言いづらいでしょ。」

そう言うと、なんだか戸惑っている様だった。

「…燭台切、お願いがあります。」

今度は何を言い出すのやら…。
燭台切は、言葉の先を促す。

「クナイホルダーを返してください。」

「クナイホルダー?」

「このくらいの小さなカバンです。」

とレンは手振りで大きさを伝えてきた。
燭台切は覚えがあった。

あの武器が入ったポシェットみたいなやつか…。
さて、どうしようか。
素直に返すのは抵抗がある。

「さぁ…。僕は見なかったな。違う子が持ってるのかも。」

惚けてみる。
レンの反応が知りたかった。

「…そうですか。
なら代わりに鎌を貸してください。」

ー意外だな。食い下がらないのか。

まるで返さない事を分かっている様にも見える。

ーだけど、鎌?なんで鎌?

「鎌なんて、何に使うんだい?」

燭台切は、不思議に思って問う。

「最初に来た地点の周辺の草刈りをします。」

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