第6章 帰り道を探して
とん、とん、と木から木へ飛び移る音が響く。
久々に風を切る感覚は気持ちがいい。
チャクラの戻りも良好だ。
多少傷に響くが、体を動かせる気持ち良さが勝る。
それに洗い立ての服が、素肌に心地いい。
そう、寝込んでいる間に誰かが着ていた服を洗ってくれたらしい。
ー今度お礼をしなくては。
暫く渓流に沿って木々の間を走っていると、見覚えのある草原に出る。最初の地点が近いのだろう。
本丸からここまで大体北西に向かって進んできた事になる。
太陽の動きから大体1時間というところか。
予想通りだな、とレンは思う。
それからは歩きながら地面に刺したクナイを探す。
程なくして刺したクナイは見つかったが、思ったよりも草が生い茂っていて、地面が全く見えない状態だ。
クナイホルダーでもあれば少しは草が刈れただろうが、生憎没収されたままだ。
仕方がないので周辺に人工物がないか探してみる事にした。
やはり、見つからない。
「ない、か。」
レンは呟く。
もっと、あっさり見つかるかと思っていただけに酷く落胆した。
いつの間にか太陽は西に傾き、空が夕焼けになっている。
「やばっ!ご飯が!」
レンは急いで来た道を戻った。