第29章 急襲
「待って!ボクも行く。」
俺は驚いて振り返る。
「乱!?何言ってんだ!」
厚が声を上げる。
「ボクだって、刀だよ。ここでじっとしてるなんて性に合わない。」
乱は厚に笑いかけた。
「だからって…!」
厚は悔しげに乱の手を握り、俯く。
ごめんな、厚。
「厚はここにいて、五虎退を守ってくれ。」
俺は厚に五虎退を頼んだ。
「待って。僕も行くよ。」
燭台切の旦那が名乗りを上げた。この人なら一緒に来るだろうとは思った。
「君達が行くんなら、僕が護衛をするよ。」
「待て。…ったく、俺が代わりに行く。」
「伽羅ちゃん?」
「お前じゃデカイし目立つ。それに俺の方が幾分かは夜目が利くから夜戦には有利だ。」
「だったら俺も行く。その理由なら俺が打刀じゃ一番有利だよ。」
大倶利伽羅の旦那と加州までもが名乗りを上げ、驚く。
「…何を見ている。ほら、行くぞ。…ったく。」
俺は燭台切の旦那を見ると、仕方ないと言った風に笑っていた。
「旦那方、後を頼む。」
俺はみんなをしっかり正視する。
「伽羅ちゃん、レンちゃんをお願いね…。4人とも、気をつけて。」
残りの面々に見送られ、俺達は結界を出た。