第84章 新たな拠点、新撰組
「レン…!」
乱の言葉に、刀剣達は一斉に通路である廊下に出ると、こちらに歩いてくるレンの姿み見つける。
「どうだった?」
加州が心配そうに駆け寄ると、レンは向こう側の廊下に目配せをする。
加州がその視線の先を辿ると、男が一人潜んでいるのが見えた。
僅かに驚いて彼女を見ると、部屋の中へと誘導される。
「とにかく中で話しましょう。」
レンはすたすたと部屋の中へと入っていき、彼女の周りに刀剣達は集まった。
「土方さんに連れられて、とある部屋に行ってきました。そこには…」
そう言って話し始めた内容に、彼らは驚いて目を瞠る。
「伊藤甲子太郎、って…。池田屋の後の人じゃん。」
「新見ってさ、とっくに粛清されてる筈だよね。生きてるとか、全然話が違うよ。」
「それも時間遡行軍が庇っただなんてさ、ちょっと意味が分からないんだけど。」
「これは…今までにないパターンだね。」
加州、大和守、乱、燭台切が話しだす。
「時間遡行軍ですが、今後そのワードは禁止でお願いします。土方さん達には時間遡行軍の名前は知らないと言ってあるので。」
それを聞いて、刀剣達はじとっとレンを見る。
「…まさかとは思うけど、余計な事は言ってないよね?」
「…レンの術も見せたりはしてないよね?」
乱、燭台切はそっと聞いてみた。
「はい、見せていません。」
しれっとしたレンの様子に、刀剣達は尚も疑り深くじとっと彼女を見る。
だが、飄々と彼等の視線を流す態度からは何を読み取れるわけもなく。