第83章 時間遡行軍、現る
「おらー!!」
「おらおらー!!」
「ぐっ…!!」
「しつこいっ…!」
「はっ…!」
加州と大和守は、先手必勝で打刀と脇差を撃破し、ノルマの二体目と対峙している。
燭台切は太刀、大太刀を足止めにかかり、乱は側に着いていた脇差を抑えている。
堀川は脇差と交戦中だ。
レンはというと、
「ちっ…!当たらない…!」
打刀一体を氷槍で串刺しにした後、気配のない短刀を見つけて追い回していた。
短刀だからだろうか、身のこなしが一際早く、気配も追えないので動きの予測が難しい。
だが、無視もできなかった。
何故かレンを狙い打つかの様に、死角から攻撃してくるのだ。
短刀を目視で追おうと立ち止まると、
ガキン!!
「ぐっ…!」
他の時間遡行軍に捕まってしまう。
そうなると、また死角から狙われるのだ。
「ちょこまかと…!」
短刀の刃を避けたレンは、鍔迫り合いで止まっている打刀の胴体に蹴りを入れて引き剥がすと、仲間と距離を取る。
「レンちゃん!?」
燭台切が気づいて呼びかけるも、それに答えている暇はない。
四、五体位は釣れるかと思いきや、引っかかったのは打刀と脇差の二体のみ。
「氷遁、氷華縛!」
とりあえず、二体だけでも足止めするに越した事はない。
何の術なのかも分からない時間遡行軍は、レンに襲い掛かろうとした格好のまま、あっという間に氷に包まれた。