• テキストサイズ

君に届くまで

第19章 左文字の記憶


一方レンは、刀を治す作業に取り掛かるが…。

「…燭台切。やっぱりおかしくありませんか?
もう、かなりの数の玉鋼を使ったのですが、全く変化がありませんよ。」

「そうだね…。こんなに治らないのは…初めて見るな…。」

燭台切は不安そうにぽつりぽつりと答える。

「…刀がダメなら、肉体の方にチャクラを流したら反応しますかね。」

燭台切は硬い表情のまま答える。

「分からないけど…、きっとダメだと思う。」

「やったことはあるんですか?」

レンが尋ねると、燭台切は黙ったまま首を横に振る。

「なら、物は試しです。やってみましょう。」

レンは小夜の側に座ると彼の手を引っ張り出し、手を握ってチャクラを流す。
最初は少しずつ、次第に量を増やす。全身の傷を治すイメージをする。

『…ぃ…さま…』

レンは小夜から視線を外し、顔を上げる。
今声がした。小さすぎて聞き取れなかったが、確かに声が聞こえた。

「どうかしたの?」

「今…、声が…声がしたんです。」

「声…?」

燭台切は不思議そうにレンに尋ね返す。
レンはもう一度小夜の手を握りなおし、チャクラを流す。

『…ま。…に…さ…。』

やっぱり聞こえる。この子の声か…?
レンは流すチャクラの量を増やした。

『…さま。…にい…さま。』

ー兄様?江雪さんを呼んでいる?

レンはギリギリまでチャクラ量を増やす。

『…兄様。』

声のする方を見ると、江雪の後ろに、ここに寝ているはずの小夜が見えた。
すると、小夜がゆっくりとレンの方を見る。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp