第78章 番外編1
「はっはっはっ。愉快、愉快。」
「でしょ〜?アタシも思わず笑っちゃったんだよね〜。」
少し離れた広間の縁側で、のほほんとした会話が彼等の耳に飛び込んできた。
いつの間にか、縁側で三日月と次郎太刀がお茶を飲んでいた。いや、あれはお茶ではなく、徳利ではなかろうか…。
「…昼間から酒ですか。」
「次郎さん、昨日しこたま呑んでたよね。」
「うん、歌仙に叱られてたし。」
鯰尾、大和守、乱は少し引き攣った顔で互いを見合わせた。
「いや、待てよ?三日月を引き入れるぞ。」
鶴丸がにやりと笑うと、薬研が目を瞬かせた。
「え、三日月の旦那をか?」
「三日月なら知恵を貸してくれるかもしれない。」
「亀の甲より年の功ってか?」
薬研が怪訝な顔で聞き返すと、鶴丸は楽しそうに笑う。
「意外にあっと驚く知恵を貸してくれたりするんだよ。」
ふ〜ん、と聞いていた彼等は相槌を打つ。
取り敢えず、と言いながら、大和守はぽんと鶴丸の肩を叩いた。
「服、直しな。」
言われた鶴丸は自身の出立ちを振り返る。
成程、所々よれよれで紐も解れている。
「おっと、悪いな。」
鶴丸は困った様に笑いながら身だしなみを整えた。