第2章 憧れの人〜ドリノベVer〜
倒れないように床に手をついたら、ユキさんを押し倒しているような体勢になってしまった。
「す、すみませんっ…!私こけちゃってっ…」
「こけたんじゃなくて、俺が引っ張ったんだよ」
「ソ、ソデシタネ…」
な、何なんだこの状況は…
もしこんな所をモモさんやマネージャーさんに見られたら…
「ど、どきますねっ…」
「いや、このまま僕の話を聞いてくれる?」
こ、このまま…?
「そ、それは…私の腕が持つかどうか…」
「じゃあこうしよう」
そう言うと、あっという間にユキさんに形勢逆転されてしまい、今度は私が押し倒されている状況になってしまった。
ユキさんの綺麗な髪の毛の先が私の頬に当たる。
「君は、モモが好き?」
…はい?
「な、何でそんな事…」
「いいから答えて」
それって、人として…って事で良いんだよね?
「…も、もちろんRe:valeの事は尊敬してるし大好きです」
「…そうじゃなくて」
じゃ、じゃあどゆこと?
「そろそろね、限界なんだ。君とモモに足並みを揃えてるのも」
「あ、足並みを揃えてる…?」
「いくら僕だからって、男一人の部屋に女の子が一人で入ってくるのは危ないって事」
話が全く見えない。
それにここはRe:valeお二人の楽屋なんですが。
思考回路がショート寸前だ。
「ククッ…男に押し倒されてるのにその顔…」
「へ?」
今、私どんな顔してる…?
私を見下ろしながら口を抑えて笑うユキさん。
こんな時に何を考えてるのかと自分でも思うが、端正な顔立ちを歪ませて笑うユキさんも超絶イケメンだ。
モモさんが毎回そう言うのも頷ける。
…って、そんな事考えてる場合じゃない。
「て、ていうか…なんで私、押し倒されてるんですか…?」
「…ああ、それはね…?」
ユキさんの顔がゆっくりと降りてくる。
えっ…
これってまさか…
「ユ、ユキさっ…!」
まさかまさかまさかまさかっ…!?
キ、キスされる?
ユキさんに?
何で?
もしかしてユキさん私の事…
いや、そんなの天変地異が起こっても絶対に有り得ない。
こんな超売れっ子のアイドルが。
天下のRe:valeが。
私なんかを好きになるワケ…