第2章 憧れの人〜ドリノベVer〜
「…あいちゃん?」
「っ…」
そうだ。
ユキさんの事だけじゃない。
モモさんだってきっと、私の事なんて好きになんかなるワケない。
そう思ったら、視界がだんだん歪んできた。
「ちょっ、あいちゃ…」
「おっまたせ~♪って、ユ、ユキっ…!?何してんのっ…!?ちょっとタンマタンマっ…!!」
涙目になってしまった私を見てユキさんの動きが止まったと思ったら、勢い良くモモさんが楽屋に入ってきた。
すぐに私とユキさんの間に入ると、私を背にしてユキさんに向かって両手を広げた。
「な、何してんのユキっ…!?」
「…見たら分かるでしょ」
「わ、分かるけどさっ…!!あいちゃん泣いてんじゃん!!」
「いや、それは僕も本当予想外で…」
私には全てが予想外でしたよ…
「大丈夫?あいちゃん…」
「は、はいっ…」
「…ユキ?これはいくら何でも、さすがのモモちゃんも怒っちゃうよ…?」
「ごめん、モモ…」
「ち、違うんです!ユキさんは悪くないんですっ!!元はと言えば、私が先にユキさんを押し倒してっ…」
「えっ…ま、マジで…?」
「いや、違うんだモモ!俺が先に彼女を引っ張って…」
「引っ張っ…!?」
「いえいえっ!元はと言えば私が楽屋にお邪魔させてもらってっ…!」
「って、それ元はと言えば俺のせいじゃん!?」
『…………』
そ、それもそうだ…
「…とりあえず、邪魔者は退散するから」
「ちょ、ちょっとユキ!」
「あいちゃん、まさか泣くとは思わなかった。本当にゴメンね…?」
「い、いえいえっ!」
「…でも、元はと言えば君達二人のせいだからね」
『へ…?』
声が揃った私達を残し、ユキさんは意味深な言葉を残して楽屋から出ていった。
「わ、私達二人のせいって…」
一体どういう事…?
「もしかしてユキ…」
どうやらモモさんは、ユキさんの言葉の意味をある程度推測したようだった。
「どういう事なんですか?私達のせいって…」
「…あーそれは…厳密に言うと俺だけのせいっていうか…」
「へ…?」
モモさんのせい…?
「モモさんのせいってどういう事なんですか?」
「そ、それはぁ…」
「それは?」