第13章 ❄️️ 記録と活用
「ギャッ」
組み敷いた轟に下から氷で攻撃され、一旦距離を摂るダークシャドウ。
「凍らせるだけではなく氷そのものを出現させることもできるのだな…ダークシャドウっ!」
「アイヨー!」
再びダークシャドウが攻撃を仕掛ける。
「…………」
轟はよろよろと立ち上がりながら氷で応戦する。
ガシャン!!
ガキンッ!!
轟の氷とダークシャドウの爪のぶつかり合いが続く。
(雪からの攻撃が来ない。終了の合図も来ない。雪も上に行ったのか?)
教科書を寮まで運ぶのにも疲れ果ててしまうような、あの小さな雪が戦闘している姿は想像がつかないが、八百万がまだ核を確保していないということはつまりそういうことなのだろう。
「なかなかやるな轟。」
「お前もしつけぇな。」
(ここで常闇を拘束し俺も上に行くしかなさそうだな。)
「さみぃから早く終わらせてぇんだ。」
ギロリと常闇を睨む轟。氷のように冷たい視線。
そして……
ダークシャドウへ向かう氷の量が増していく。
それに合わせて押されるダークシャドウ。
(くっ……、狭い屋内だとこれ以上ダークシャドウの闇を大きくできないっ)
やがて少しずつ後退していた常闇のすぐ後ろは階段だ。
(ここまでか…。核の場所がバレる前に2人とも確保されては元も子もない。)
「戻れダークシャドウ!」
核の隠し場所がバレる可能性も拭えなかったが、常闇は階段を下へと降りていった。
(………逃げたのか。まぁ、戻ってくるより先に核を確保するだけだ。)
轟は同じ階段を反対方向、上へと進む。
「くっ、」
(あの雪の結晶はさっきまでのものは全然強度が違う!)
八百万は防戦一方であった。
しかし雪も結晶を飛ばすだけで階段の前から動くことは無い。
(生成のタイムラグが見抜かれている…!)