第13章 ❄️️ 記録と活用
『はぁ、あと5分…!』
こんなに大規模で長い間個性を使い続けるなんて初めてだ。
寒さで思考までもが鈍りそうになる。
しかし、もうひと踏ん張りだ。
《雪すまないっ!轟に敗れた!そちらへと向かうだろう!バレるのは時間の問題!核の前で精一杯、最後の足掻きをさせてもらうっ》
常闇からの連絡。
『っ了解!こちらもできるだけ頑張る!』
応答しながらも八百万から目を離さない。
(雪さん…!凄い反射神経と集中力ですわ!)
この少女は本当に、昨日除籍の絶望に泣きそうになっていた少女と同一人物か、と疑うほどに手強い相手だった。
(私だって…!)
八百万が飛んでくる雪の結晶を避け、もう一度盾を生成しようとした時。
「終わりだ雪。」
『っ!』
雪に向かって轟の氷が襲いかかる。
冷えて動きの鈍くなった体を力いっぱい動かし、間一髪横に飛びのけてそれを避けた雪。
しかしそれにより最上階へと続く階段への道が開かれる。
「八百万!!行け!!」
「轟さん!感謝します!」
階段へ走る八百万。
『まだ…!』
素早く結晶を生成し八百万の足元へ飛ばす。
「きゃあっ!」
「お前の相手はこっちだ!!雪!!」
再び氷を雪へと送るが、不意打ちでない分、さっきよりも簡単に避けられてしまう。そうしながらも八百万への妨害を辞めない雪。
(軌道の読みやすいこの攻撃は広い6階では避けられるか。かと言ってこれ以上屋内で激しい攻撃もできねぇ、ならっ!)
『え!?待って待って!』
雪へ向かって走っていく轟。
(待って!無理!)
疲れきっている雪にはもう、2つの対象に結晶を飛ばすことはできないようだった。
八百万に結晶を飛ばしつつ轟から逃げようとするが、冷えた体で走ることもままならない。
『わぁ!』
轟が雪に飛びかかる。
体の小さな雪は簡単に捕まり、組み敷かれてしまった。
仰向けに横たわる雪の両手首を頭の上で拘束し、そのまま彼女の手を氷で覆う。
『い''っ!』
タイムアップまで、残り3分。