第13章 ❄️️ 記録と活用
同ビル、最上階からひとつ、下の階にて。
「やはり凍らせてきたな。」
『うん。とこやみがペアで良かったよ。』
「持ち上げてんのはフミカゲじゃねえぞ!」
『ごめんごめん、ありがとう。ダークシャドウ。』
常闇と雪は浮遊しているダークシャドウによって持ち上げられ、氷で床に縛られることを回避していた。
「第一関門突破だ。」
『やったね!ダークシャドウ、もう下ろしていいよ。重いでしょ?』
「アイヨ、全然重くねーけどな!」
床に着地すると、常闇が身震いする。
「寒いな。」
『大丈夫?私のコスチューム超あったかいからマフラー貸すよ。』
そう言って自身が身につけているマフラーを解き始める雪。
常闇は少し驚いてそれを制する。
「い、いや。遠慮する。これしきの寒さ、なんてことはない。」
『え、でも今寒いって…』
「それは嘘だ。」
『………ほんと?寒くなったら言ってね?』
「承知。そ、それより雪のコスチュームは日の元ではかなり暑そうだな。」
彼女のコスチュームは白いもこもこプードルニットが使われた、緩いシルエットのワンピース。少々短いが下に短パンを履いているので安心だ。(ちなみに短パンの裏地もモコモコ素材である。)更にタイツ(黒)、ブーツ(白)にマフラー(水色)着用で防寒対策バッチリだ。
『私個性ですぐ体温下がるから平気なの!暑くなったら雪作る!』
そう言ってパッとひとつ、雪の結晶を作ってみせる。
なるほどな、と納得した常闇。同時に話題逸らしの成功に胸を撫で下ろす。
女子が今しがた着用していたマフラーを借りる勇気は持ち合わせていないのだ。
『じゃあ、こっから作戦開始だね。ちょっと集中する。』
「よろしく頼んだ。」
そういうと雪は目を瞑り、予めビル中にまいておいた雪の結晶へと意識を集中させる。
『あ、2階に入ってきた。』
「2人一緒か。」
『うん。もう少し様子みよう。』