第13章 ❄️️ 記録と活用
「頭いいなあの2人!」
「でも常闇だからこそできたことだよな。」
モニタールームでは轟の氷漬けを回避した常闇のダークシャドウに賞賛の声が上がっている。
もちろんオールマイトも同様に思っている。しかし、もっと驚いてるのは。
(雪少女…確か個性届の詳細には作った雪の結晶は意識を外すと即座に水蒸気に戻ってしまうと書いてあったな。あの数の結晶を同時に形成し保持し続け、しかもそれをビルの至るところに…)
驚くべき集中力と空間認識能力だ、と感心する。
「あ!今度は轟、2人で進むみたいだね。」
「八百万がただ待ってるだけなの納得しなさそうだしな。」
結晶に気がついた轟と八百万がその結晶に触れると、簡単に消えてしまう。
(実技試験や昨日の体力テストで扱っていた結晶はある程度の強度を持っていたが、脆いな。数を多く保持するため、強度を落としたのか。なかなか慣れている。)
《あ、2階に入ってきた。》
《2人一緒か。》
《うん、もう少し様子みよう。》
オールマイトの小型無線に敵チームの2人の声が届く。
(なるほどな、センサーのためか。これで敵の位置が筒抜けなわけだ。)
轟、八百万、常闇の個性は圧倒的な強さを誇る。
パワーでおとる雪はどのように乗り越えてくるのか。
「面白いぜ。」
そう笑うオールマイト。
無言でモニターを睨みつけている爆豪。
緑谷に負けた。上位3人に選ばれなかった。
(この俺が…)
悔しさでどうにかなりそうだ。
静かに目を閉じ何かに集中している様子の雪を見て、先程怒りに身を任せ暴れ回っていた自分と比較する。
「かっこわりぃ。」
そうつぶやく。
思考がぼんやりとする。
モニター越しに見える白い少女。
目を瞑る彼女は、綺麗だった。