第13章 ❄️️ 記録と活用
「おい雪、移動だってさ。行こうぜ。」
『あっ、うん、ごめん。』
ビルが壊れてしまった為移動することになったが、動かない雪。心配して声をかけたのは切島だった。
「大丈夫か?ぼーっとして。」
『う、うん!大丈夫。えっと、移動?』
(何か思い出せそうだったけど…)
何か忘れている記憶がある。そしてそれは、あの悪夢に関係していると確信した。今浮かんだ風景、思い出した、夢でいつも見ている風景。
しかしそれだけ。
(まぁ、いいか。)
「さっきんでビル壊れちまったから、違う場所に移動。雪、入試の時もだったけど 先生の話ちゃんと聞こうな?」
『ごめんなさーい。』
えへへ、と笑いながら移動を始める。
「緑谷達のバトル、熱かったな!!俺も燃えてきたぜ!!」
『うんうん!凄かった!みどりやもばくごうも!』
(あ、ばくごうに声かけるタイミング、見失ったかも…)
第二線はヒーローチーム 轟・障子 対 敵チーム 尾白・葉隠。
先程の大熱戦とは対照的に、こちらは轟の一手、ビル丸ごと凍らす作戦で呆気なく終了した。
「仲間を巻き込まず核兵器にもダメージを与えず尚且つ敵も弱体化!最強じゃねェか!!」
先程同様後ろの方でモニターに目を釘付けにする雪。
隣には一緒に移動してきた切島。
「すっげぇあいつ、化け物かよ!!てか、雪の個性と似てるな?」
『えっ、そうかな?』
「えっ?似てね?」
轟が核兵器を確保したところでやっとモニターから目を外し、切島の方を向く。
『うーん、雪と氷はまた違うし、とどろきの個性は私にはできないことばっかりだよ。逆に、私の個性もとどろきにはできないことだと思う。』
「…よくわかんねーけど、そーなのか?」
訓練は続く。
全ての試合を、雪は片時も目を離さずに見ていた。
そして切島は、その横顔を片時だけ、盗み見るのだった。