第2章 ❄ 空の上の内緒話
❄❄❄
広い雪野原の間の、細い田舎道を走る車の中。
空港までまだまだ時間がかかる。
外の景色に見とれていたが、飽きてきたため個性の練習をすることにする。
両掌を胸の前で上に向け、
掌付近の水蒸気を感じ取り…
集中する。
「だいぶ大きく作れるようになったじゃない。」
『うん、凄いでしょ。』
直径10cmほどに形成した''それ''を、右手の人差し指に載せ、母に見せびらかす。
「綺麗ね。取っておきたい。」
『ふふ、見たい時にいつでも作ってあげるよ。』
ふっと息を吹くと、''それ'' は容易く指から浮き上がり、フロントガラスに当たって砕け散ってしまった、
雪の結晶。