第2章 ❄ 空の上の内緒話
朝日が昇り、昨晩までに振り積もった雪がキラキラと、眩しいほどに輝く。
透明な朝。
『お父さん、シロのご飯忘れちゃダメだよ!』
「お父さん、明日のゴミ出し、忘れないでね。」
今日は雄英高校入学試験の前日。
母と飛行機に乗って関東に行く日。
「大丈夫大丈夫。2人とも心配し過ぎだ。俺の忘れ物の心配より、零こそ、忘れ物ないか?」
父は仕事があるからお留守番。
輝く雪に、玄関から車庫へ続く、3人分の足跡。
『わわ忘れ物、してたらどうしよ…』
「自信ないのかよ」
ケラケラと笑う父が車の後ろの席にキャリーバックをいれてくれた。
「じゃ、気をつけてな。頑張れよ!」
『うん!行ってきます!』
車に乗りこみ、窓ガラスを下げる。
「お留守番お願いね~!」
『したっけ~~!』
雪をミシミシと鳴らし、親子を乗せた車が動き出した。