第12章 ❄️ その実態は
「始めようか有精卵ども!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
それぞれのコスチュームに着替え、グラウンド・βに集まった生徒達。
人によっては顔が隠れていたり、体型が分からなかったり。
お前誰だ!?
それいいね!
などと盛り上がっている。
「いいじゃないか皆、カッコイイぜ!!」
(皆センスいいなぁ)
そんな風に周りをキョロキョロと見回すのはクラスの中で(峰田を除き)1番背の低い女子。
彼女のコスチュームはシンプル。マスクもマントもない。機動性を重視した軽さと、体が冷えないための保温性を兼ね備えたものだ。
「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」
ロボットのようなスーツから、飯田の声が聞こえてくる。
その問いに透かさず応えるオールマイト。
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」
その訳を説明する。
「敵退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ。監禁、軟禁、裏商売…このヒーロー飽和社会、真に賢しい敵は屋内(やみ)にひそむ!」
なるほど、と頷く生徒達。流石雄英、何をするにもしっかりと意味があるのだ。
「君らにはこれから【敵組】と【ヒーロー組】に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
いきなり!?とどよめきが起こる。
「基礎訓練もなしに?」と蛙水。
「その基礎を知るための実践さ!ただし今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃやいのがミソだ。」
蛙水の質問に応えたオールマイトを見て、その他の生徒達もそれぞれ思い思いに質問を始める。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」
『ひえっ!』
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」
「このマントヤバくない?」
「んんん~~聖徳太子ィィ!!」
全ての質問に答えてあげたいオールマイトだが、同時に聞き取ることはできず。No.1ヒーローでも誰かに縋りたい時があるらしい。
諦めたオールマイトは、何かが書かれた小さな紙を取り出した。
(カンペ…!)
(カンペ出したぞ。)