第12章 ❄️ その実態は
「よう」
カレーを食べている彼は既にこちらに気づいていたようで、驚くことはなく短く挨拶をする。
『偶然だね!見て、私もカレー!』
ん、ともぐもぐしながら相槌を打つ心操。
向かいの席で芦戸と耳郎は「誰?」「さあ?」と首を傾げている。
『あ、しんそう、こっちは同じクラスのあしどとじろうだよ。2人とも、この人は…「お前、ヒーロー科だったんだな。」
『あ、うん。……?』
苛立ちを孕むその言葉に少し驚く。
『しんそうは?』
「…………普通科。」
カレーを食べ終わった彼は短く答え、じゃ、頑張れよ。ヒーロー基 礎 学。と言い残して立ち上がり、行ってしまった。
『あ、じゃあね…………』
何を怒らせたのだろうと考え込む雪。
「何あれ、感じ悪いな。しんそう?っていってたっけ。」
「なんか怒ってるぽかったねー」
雪大丈夫?気にしないどきな。と声をかけてくれる2人にお礼を言い、また会ったら話そうと決め、カレーを口に運んだ。
「チッ」
食堂を後にする心操。
(あいつに当たったってしょうがないだろ)
少し後悔する。
(今度あったら謝るか。いや、会うかどうかなんてわかんないじゃないか。クラスも違うのに。)
友達でもなんでもないし、と呟き、1-Cの教室へと戻るのだった。