第10章 ❄ 冗談じゃない!
円の中へと入ってゆく緑谷。
その様子を見る相澤はそろそろか、と注意深く見守る。
同じく彼を気にする飯田と爆豪。
「緑谷くんはこのままだとまずいぞ…?」
「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」
その言葉に疑問を抱く雪。
(どういうこと?ばくごうはみどりやの知り合いなのかな?)
教室での2人の妙な距離感を思い出す。
しかし緑谷はあの巨大ロボットを壊したと言っていたし、今こうして雄英ヒーロー科の生徒としてここにいる。無個性なんてありえない。
「無個性!?彼が入試時に何をしたか知らんのか!?」
「は?」
そして緑谷が大きく振りかぶる。
かなり力んでいるようだ。
「46m」
絶望した顔で唖然とする緑谷。
「''個性''を消した。」
「つくづくあの入試は… 合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学できてしまう」
「消した…!!あのゴーグル…!!そうか………!!」
見ただけで人の''個性''を抹消する''個性''。
「抹消ヒーローイレイザーヘッド!!!」
あまり聞きなれない名前にザワつく生徒達。
その間、相澤と緑谷が話している内容は聞き取ることができなかった。
暫くして再び円の中へと足を踏み入れる緑谷。
「指導を受けていたようだが…」
「除籍宣告だろ」
『……………』
深呼吸をし、目を開けた緑谷は どことなく、吹っ切れたような顔をしていた。
それを見た雪は勘づく。
これは、終わったかもしれない…………
「750.3m。」
「先生……!まだ……動けます!」
「こいつ……!」