第10章 ❄ 冗談じゃない!
「やっとヒーローらしい記録出したよーーー」
「指が腫れ上がっているぞ。入試の件といい…おかしな個性だな………」
「スマートじゃないよね」
そんな声が上がる中、何も言えずにいるのは 彼は無個性だと言っていた爆豪。そして、自分の除籍を確信した雪…
「どーいうこどだこら ワケを言え デクてめぇ!!」
「うわああ!!」
爆豪の猪突猛進に騒がしくなるが、雪には何も聞こえない。
『リラックス、リラックス、、』
至極、冷静を装う…
そして、全種目が終了する。
「んじゃパパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。」
そう言うと相澤は、雪の姿を探す。
隅の方にいた彼女は、今にも泣き出しそうで ぎゅっと目を瞑っている。
ふーーーと息を吐いて、相澤は雪の前へ立つ。
そして、昨日プレゼントマイクがやっていたように。
しかし、そっと、彼女の頭に手を乗せた。
雪は驚いて目を開け、相澤の顔を見上げる。
「ちなみに除籍はウソな。」
「「『…………………………』」」
雪と目を合わせていた相澤は、彼女の頭に載せた手はそのまま、生徒全員へと視線を移す。そしてとぼけたような笑顔でこう続けた。
「君らの最大限を引き出す 合理的虚偽。」
「「「はーーーーーーーーーーー!!!!??」」」
『う、が…………』
(ん?)
相澤は再び手の下の少女を見下ろす。
下を向いてプルプルと震えている。
『が…………』
「………………………」
『ガオーーーーーーー!!!!』
「おっ」
急に大声を出す雪に驚きサッと手を引く相澤。
それを見た周りの生徒は、ケタケタと笑う。