第8章 ❄️️ 入学前の時間
チュンチュン
カーテンの隙間から差し込む朝日。
真っ直ぐに少女の顔を照らし出す。
ゆっくりと目を開けると、見慣れない部屋。
(……………寮か。)
覚めきらない頭でゆっくりと認識する。
ベットの頭側の棚に置いた時計を見ると、時刻は5時20分を指していた。少し早起きしてしまったらしい。それにしても…
『はぁ……また夢、見てたみたい。』
あまりいい睡眠は取れた気がしない。
が、早起きは三文の徳という。
朝食の時間まで、散歩にでも出てみようと考え、ゆるゆるとベットから降りる。
❄❄❄
少し肌寒い。
昨日はとても賑わっていたが今はしん、と静まり返った廊下、ロビー、玄関を通り過ぎて外へ出る。雀の鳴き声と眩しい日差し。
『うーーーーーん』
思いっきり背伸びをして、歩き始める。
寮の玄関は校舎の後ろ側を向いているが、それとは反対方向、寮の裏側へ。
部屋の窓から緑に囲まれた散歩道が見えたのだ。
『どこまで続いてるのかな。』
思ったよりも長く続いてる道をゆっくりと歩いている。
鳥の声と、暖かい春に少しずつ目覚め始めている花。後ろを振り向くと、寮はもう 木に隠れて見えなくなっている。
そのまま体もそちらへ向け、後ろ歩きをしてみる。
『ふんふんふーん』
寝起きの気分は最悪であったが、やはり朝は気持ちいいものだ。
鼻歌を歌いながら後ろを歩きを続ける。
『ふんふんっあっ!わぁ!』
足元に何かが引っかかり、
視界が空へと向く。
「っおい!!」
『ふー、ふー………』
……………転倒せずに済んだ。
びっくりして早まった呼吸を調える。
「…………立てる?……ますか?」
『っはいっ!ごめんなさい!』
転ぶ前に受け止められた。
後ろから抱き抱えられている状態。
慌てて体制を立て直し、助けてくれた人の方へと振り返る。