第6章 ❄️️ 帰還まで
「まぁ、今日の事は気にするな。明日は筆記テストだ。切り替えて頑張れよ。」
(そんなこと言われても…)
と思ったが、はい、と返事をしない訳にはいかない。
『ありがとうございました、あいざわ先生。』
「はい、じゃあまた明日。」
ホテルの入口前に車を停め、挨拶を交わす。
少女は車を降り、控え目に扉を閉め、そのままもう一度、お辞儀をした。
(……俺名乗ったか?)
少しして浮かぶ疑問。だが直ぐに解決する。
(ああ、これか。)
横にあるトレイに置いておいた名刺を思い出す。
少女が顔をあげると相澤は軽く頷き、学校に帰るべく 車を発進させた。
あたりはもう、すっかり暗くなっている。
『ただいまー』
「零!おかえり、大丈夫?」
部屋に戻ると母が心配そうに尋ねてくる。
『うん…、ちょっと転んじゃって。』
えへへ、と笑って頭をかく。
「そう………」
明るく振舞ってはいるが………
(何も聞かないでおくか。)
「零、素敵な出会い、あった??」
『またそれぇー??ないない!それよりお母さん、お風呂入りたい!』
「そうね、じゃあ行こっか!」