第18章 ❄️️ 名前
❄️❄️❄️
『はぁ…、はぁ…』
雪害ゾーンを抜けた、白に赤の模様を描いた少女。
『痛い…、でもここで意識を飛ばしたら…零は動けない…』
彼女は、彼女なのか。
『安全な所まで連れていかないと…』
彼女が、中央広場が見える場所まで来た時。
ドクンッ…!
そこに広がる光景を見た瞬間、走り出していた。
❄️❄️❄️
「これだけのことをしといて…あっさり引き下がるなんて…」
「帰ろっか」と言葉を発した敵の頭らしき男。これで帰ったら雄英の危機意識が上がるだけだ、何を考えているんだと。緑谷が思考を巡らせていた、次の瞬間。
「けどもその前に平和の象徴としての矜恃を少しでも…」
「へし折って帰ろう!」
そう、彼が笑ったのは、緑谷達がもう耳をすませなければ聞こえないような位置ではない。
突然の、急接近。
声も出せず、緑谷は頭を正面から掴まれた、隣の蛙水を見る。
(気付かれていた…)
しかし、先程腕を掴まれて崩れ落ちた相澤のように、蛙水がバラバラになることは無かった。
「………本っ当かっこいいぜ、イレイザーヘッド。」
死柄木のその言葉に。我に帰った緑谷。
死柄木の個性を消していた相澤が再び、頭を地面に押さえつけられる。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイさっきの敵たちとは明らかに違う!!蛙水さん!!救けて逃げ…)
半ばパニックに陥っている緑谷が、本能のまま死柄木に殴り掛かる。
「手っ…離せぇ!!」
「脳無。」
「スマーーーーッシュッッ!!」
ズドォォ…
「え…」